歴史
キリスト教主義による人間教育
関西学院中学部は、1889(明治22)年、神戸・原田の森(現在の王子公園)に誕生しました。創設者は、アメリカの宣教師W.R.ランバス博士です。博士は医師でもあり、関西学院を創設したあと世界中に愛と平和を伝え、困っている人を助けました。
建学の精神は、「キリスト教主義による人間教育」です。この精神を発展させて、第2代院長の吉岡美国先生は日本文化の伝統に根ざした「敬神愛人」を、第4代院長のベーツ博士は"Mastery for Service"というモットーを提唱されました。さらに新制中学部初代部長の矢内正一先生は、"Be good, be honest, be brave"という言葉を掲げられました。
国際社会で活躍する先輩たち
心から人のために尽くすことを学ぶのが、関西学院の教育です。君たちの能力には限りがありません。関西学院は、自分の能力をどこまでも伸ばし、世界中の人々の平和と幸福に尽くそうとする若者が学ぶのにふさわしい学院です。
同窓生は20万人を超え、先輩たちは日本だけでなく世界各国で活躍しています。作曲家山田耕筰もその一人。友人の詩人北原白秋とともに上ヶ原を訪れ、その感動が校歌「空の翼」となりました。
世界中の恵まれない人々のために生涯を捧げたランバス博士の魂は、120年以上の時空を越えて、いまも脈々と受け継がれているのです。
キリスト教主義による人間教育
1894(明治27)年に制定された、三日月の校章。この校章は、「今は不完全な私たちですが、新月がやがて満月となっていくように絶えず向上していきたい」という願いを表しています。また、月は自ら光を放つのではなく、太陽の光を受けて暗い夜を照らしています。「私たちも神の恵みを受けて、世の中を明るく照らしていきたい」。そんな願いも込められています。
スクールモットー
1910(明治43)年に米国南メソヂスト監督教会とカナダ・メソヂスト教会が、当初、神学部と普通学部だけで始まった関西学院は、1912(大正元)年に高等学部を開設し、今日の総合大学への端緒を開きました。そして当時、カナダ・メソヂスト教会から派遣されたのがC.J.L.ベーツ宣教師。のちに第4代院長となる彼が、ランバスの精神を“Mastery for Service ”という言葉に示し、これが関西学院のスクールモットーとして現在まで提唱されてきました。端的に「奉仕のための練達」と訳されますが、つまり「自己修養(練達)」と「献身(奉仕)」、この両方を実現することに、真の人間の生き方があることをベーツ院長は学生たちに説いたのです。
知性を磨くために、私たちは学問に取り組みますが、では「知性」とは一体何であるのか、何に役立たせるものなのか。関西学院では学生たちに常にこう問いかけてきました。真の知性は、人間を深く理解し得るもの。だからこそ自らを厳しく鍛えなくてはなりません。そして真の知性は、自己のために用いるものではなく、人のために献げるもの。決しておごらず、謙虚に社会や世界のために生かすものであるのです。
質素な校舎でスタートした原田の森の関西学院は、その後北米の諸教会の援助を受けながら美しいキャンパスに成長し、さらに拡充を図るために西宮上ケ原に校地を購入。1929(昭和4)年、W.M.ヴォーリズの設計によるスパニッシュ・ミッション・スタイルのキャンパスを誕生させました。
スクールモットー“Mastery for Service”という言葉に集約されるキリスト教主義に基づく教育活動を行う関西学院では、この一句を時計台の正面をはじめ、キャンパスのいたる所に掲げています。物質と技術重視の現代社会において、今、改めてこうした真の知性のあり方を問い直す必要があると言えるでしょう。そして私たちはたえず、この「知」の原点に立ち返ることができる者だけが、21世紀をリードする優れた地球市民となり得ると考えています。